以前ツイッターで、「学校で理科を勉強する意味ってあるの?」という疑念に対して「エセ科学に騙されなくなるために学ぶんだよ」という回答があり、それが大変にリツイートされていた。
んなわけあるか。
確かに水素水は高校科学の範疇でおかしいと気付ける。水素が水に溶けないことももしかしたら中学で習ったかもしれない。
だがそれは順序が逆だ。
誰も(世間一般の人は)水素水の胡散臭さに気づかないから水素水を売ってるのであり、誰もが水素水に騙されなくなったら水素水なんて売るわけが無い。
水素水に騙されない知識を身につけても第二第三の水素水に騙されるに決まっている。
実際、自分は水素水のおかしさには一発で気付いたがコラーゲンのおかしさには気付くことはなかった。(当時自分は中学生だったので止むなしな気もするが。)
水素水は「水素は水にほぼ溶けない」という事実さえ知っていれば疑問を抱ける。まあそのごく微量で効果がある可能性もあるが、H6Oなどのへそで水素水を沸かせるような超科学的説明を見ればどうでもよくなってしまう。
だがコラーゲンは「アミノ酸は体内で一度分解され、また体内で再構成されて体内を巡る」という知識を知った上でそれをコラーゲンと結びつけて考える必要がある。中学生で習う知識とはいえこれにノーヒントで気付ける人は余程生物学に造形が深いとみえる。
「コラーゲンは体の調子を整える効果がある」←正しい
「歳をとるにつれ体内のコラーゲン量は減っていく」←正しい
「なのでコラーゲンを増やすことが健康につながる」←正しい
「この商品にはコラーゲンが含まれている」←正しい
「よってこの商品は健康に良い」←間違い
分かるかこんなもん!
もちろん勉強すればするほど似非科学には騙されにくくなる。
だが、どれだけ勉強しようがよりレベルの高い詐欺に騙されるだけだ。
例えばあなたはコンピュータウイルス対策ソフトがどうやって動いているかをご存知だろうか。
どうやってウイルスを検出し、除去しているかを知った上で使っているだろうか。
自分は知らないし、おそらく読者も知らないだろう。
水素水詐欺に騙されるというのはそういうことだ。
よく分からないけどそれっぽいものがあり、それっぽいものをなおしてくれるらしいから買う。
けれどもその説明は嘘で、ただ騙されていただけ。
似非科学、ないし似非論理に騙されないようにするためには科学だけでなく、パソコンや心理学、経済学、医学にまで精通する必要がある。
そんなことが果たして可能だろうか。
仮に国民全員がコラーゲンに騙されないほどに科学に詳しくなってしまっても、それに合わせてより分かりにくい詐欺を作ればいいのだ。保険の内容が年を追うごとに複雑に分かりにくくなっているのと同じように。
自分よりも頭のいい人が考えた詐欺に騙されないことが可能なのだろうか。
つまり、いくら勉強しても騙されるときは騙される。
騙されないために必要なのは知識ではなく、「方法論」だ。
方法論、といっても全く小難しいことはない。非常に簡単な話だ。
あなたが知識を知らなくても、他人から知識を借りればいい。
つまり「検索する」それだけだ。
ちょっとでもよく分からない多額の買い物をする前に検索する。
それだけでいい。
これだけで知られている商品名会社名の詐欺は全て分かる。
これで騙されるなら他の誰もが騙される詐欺なのだから諦めていい。
全人類の叡智の結晶をして見抜けなかったのなら仕方ない。
どれだけ知識を得ようがグーグル先生に知識量で勝てるものは居ない。
ただし、検索して出てきた内容の中にも嘘が含まれる可能性も見逃してはならない。
ネット上の情報は一切鵜呑みに出来ない。
もちろん、テレビや新聞の情報もだが。
調べて賛否両論あれば買わない。それだけ。
結局この記事で言いたいことは一つだけで、
大金払う前に商品名と会社名でググれ。